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六甲アンテナ

ともに備える防災 ~車椅子ユーザーの視点から~

日本の各地で起きている地震。8月には「南海トラフ地震臨時情報」が発表され、多くの方が備えを見直したのではないでしょうか。私も車椅子ユーザーとして津波対策のためライフジャケットを自宅の防災グッズに追加しました。しかし、それだけでは不十分です。

 

車椅子ユーザーや障害を持った方は、食料や水、簡易トイレ(※1)、医薬品といった基本的な備えに加えて、個々に合わせた備えも必要になってきますね。今回は車椅子ユーザーに焦点を当て、「地震臨時情報」に不安を感じている方々とともに防災の備えを考えていく場になればと思います。

(本記事では、車椅子ユーザーの皆さんの防災対策に特化していますので、一般的な防災用品の詳述はしませんが、それも防災には重要です。詳しくは信頼できる防災情報サイトをご覧ください)

 

車椅子で避難所に行くのは困難

 

 

古い話ですが、学生時代に阪神淡路大震災を経験しました。当時は杖を使っていたので避難をためらい、ライフラインの止まった自宅に留まり、物資不足などに困ったことを覚えています。この時の経験を踏まえて、現在車椅子ユーザーとして考える避難所の課題を考えました。

 

●避難経路の損壊:道路の隆起があり車椅子では困難

●体育館での床座:多くの避難所は床座形式のため車椅子には不向き

●入口の障壁:入口に靴が散乱している所が多く車椅子の出入りを妨げる

●多目的トイレの不足:設備がないため車椅子ユーザーの利用が困難

●避難所内の段差:車椅子の移動を妨げる など・・・

 

発災時は誰もがパニックになり心の余裕がないので、助けを求めることを躊躇し、自宅避難を選ぶ車椅子ユーザーが多いと聞きます。

 

共助によって広がる防災の輪

 

これらの課題を乗り越えるためには、「福祉避難所(※2)」の拡充と共助が不可欠です。特に隣近所とのつながりは重要で、阪神淡路大震災の当時、自宅避難を余儀なくされた私にとって、地域の人たちが水を提供してくれ、そこから自然に小さなコミュニティとなって助け合った経験が心に残っています。

 

避難所へのアクセスが制限される中、共助の力は大きく、防災における重要な役割となるのではないでしょうか。そのためにできる事を考えてみました。

 

●地域の防災訓練や地域活動に積極的に参加してみる

車椅子の存在を知ってもらい、アイデアや気づきを地域と共有する

●サポートネットワークを広げる

家族や友人以外にも福祉サービスなど多方面への人脈を築く

●近隣同士の連絡網の整備と共有

緊急時のために、隣近所とメッセージや情報をスムーズにやり取りできる体制を整える

 

避難のあり方は、個人の身体状況によって何が正解かは異なります。それでも、地域社会との繋がりを深めることで、災害時にも安心してサポートし合える環境が整ってくるのではないでしょうか。

 

自助と共助の統合的なアプローチ

 

晴れた日常の裏側にも災害はいつ起こるかわかりません。災害時に命を守るためには日ごろの自助は欠かせないです。過去の多くの災害を教訓に、車椅子ユーザーも防災リテラシーを高めていきたいですね。そして、私たち一人ひとりの小さな取り組みこそが、地域社会を強くしていくと信じています。共助との連携の中で、障害を持った方も安心して避難できる「福祉避難所」の広がりと理解、整備が進められることをを願いたいです。

 

車椅子ユーザーの私個人の見解でしたが、いかがでしたでしょうか。少しでも防災対策のお役に立てば幸いです。今後も障害を持った方たち向けに、防災をテーマにした福祉避難所などの情報をお届けしていきたいと思っていますので、またご訪問いただけるとうれしいです。

 

※1 簡易トイレ 車椅子ユーザーは排泄障害を伴う方もいるのでカテーテルなど個別の備えが必要です。

※2 福祉避難所 高齢者施設や地域福祉センターなど要配慮者を受け入れるための避難所。必要に応じて開設される避難所で災害発生時からは利用できないため、まずは指定避難所への避難が必要です。

 

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