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六甲アンテナ

【知ってほしい】利用したいのに利用できない…身障者用駐車スペースにあるカラーコーンが当事者にとっては意外なバリアに!

ショッピングモールなどの駐車場では施設の出入口付近に、身障者用の駐車スペースが設けているのを見かけますね。下の写真にあるカラーコーン。これは不適正利用を防ぐために置かれていることはみなさんご存知だと思います。

 

バリアフリースペースなのにカラーコーンが別のバリアに・・・

 

 

身障者用の駐車スペースは出入口の近くにあるから便利なので、「短時間なら・・・」と思って、つい利用しがちかもしれません。しかしそのスペースにしか停めることのできない、車の乗降に広いスペースが必要な車いすユーザーや高齢者、妊婦、その他の障がいのために配慮が必要な方たちが利用するためのスペースです。

 

そして不適正利用を防ぐために、良かれと思って善意で置かれたカラーコーンが、逆に車いすユーザーにとっては大きなバリアとなる側面があることを知っていますか?

 

車いすユーザー自身が運転して出かけたとき、健常の同乗者が一緒であれば、カラーコーンの移動を任せられるので問題はありません。けれども車いすユーザーが一人で出かけた場合はどうなるのでしょうか。

 

私はまったく歩行ができない車いすユーザーですが、一人で車を運転して出かけると、身障者用の駐車場でよくこのカラーコーンに遭遇します。

係員の方が近くに居なくて、そばにお願いできる人も居ない場合、車いすユーザーが自力で動かすためには、(※)

①車内から車いすを下ろす

②座席から車いすに乗り移って外へ出る

③カラーコーンを動かす

④車に戻って車いすから座席に乗り移る

⑤車いすを車に積み込む

 

と、この一連の動作をしなくてはいけないので、数分~数十分かかってしまいます。健常の方のように素早くカラーコーンを動かすことはできないので、気がつけば、後ろで渋滞が起きてしまっているなんてこともあるんです。

 

そんな経験から、カラーコーンが置かれていると、駐車することを諦めて帰ってしまう車いすユーザーが結構いることも事実です。カラーコーンたった1つのことですが、バリアフリーのためのスペースが別のバリアとなり、本来その場所を必要として利用するべき人たちを阻むことになってしまうこともあるのです。

 

ハード面のバリアフリーの整備、そして心のバリアフリーへ

最近ではスロープや点字ブロック、エレベーター、身障者用駐車場の整備などハード面のバリアフリーは、まだ地域差はありますが、以前と比べると整ってきました。このハード面のバリアフリーを真のバリアフリーにするためには相互理解が必要だと思います。

 

例えば、スロープや点字ブロックの上には、自転車を置きっぱなしにしない等、実際に必要な人が利用するときのことを想像してみることも大事です。そしてダイバーシティを認め合い、身障者用駐車場にカラーコーンを置かなくても不適正利用が無くなる社会に近づけることを願っています。

 

車いすユーザー当事者の切実な思いを知っていただけたらありがたいです。

 

(※)車種により車いすからの移乗の仕方は異なります。リフトで車いすの積み下ろしをするなど様々ですが、ここでは一般的な方法を例にあげました。